エクソンモービル(XOM)の未来について考えてみた
今回はエクソンモービル(XOM)という米国最大手のエネルギー会社に現在取り巻く環境と、今後の企業展望について分析をしていきます。
かつて米国でも最大級の時価総額を誇っていたエクソンモービル社の栄枯盛衰と今後の行く末を僕なりに考えていきたいと思います。
エクソンモービルはどんな会社??
エクソンモービルはシェブロン(CVX)と並んで、米国でも最大級の規模を持つ米国テキサス州に本社を構える エネルギー会社です。
事業内容としては、原油や天然ガスの生産からプラスチックなどの石油関連の商品の製造、発電事業なども行っており、石油などの化石燃料を中心にエネルギー関連の事業を手広く行っている企業です。
日本でも2010年頃までは、「エッソ」や「モービル」といった店名でガソリンスタンドを展開していたので聞き覚えがある方もいるかもしれません。
とにかかう、エクソンモービルは石油を中心にエネルギー関連なんでもやっている企業という認識で大丈夫です。
業績は??
以下の表が20008年から2019年までの年間売上高です。
年間売上高 | 単位/億ドル | |||
---|---|---|---|---|
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
4595 | 3015 | 3701 | 4670 | 4531 |
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
4208 | 3941 | 2688 | 2260 | 2443 |
2018年 | 2019年 | |||
2902 | 2649 |
見てもらえればわかる通り、2011年をピークに右肩下がりで下がっています。
約10年間の間に売上高半分になってしまっています。
リーマンショックの影響を受けている2009年と比べても、売上高の減少は大きく鳴ってしまっています。
さらに、2020年はコロナウィルスの影響でさらに売上げが落ち込んでいるのは言うまでもないでしょう。
しかしながら、売上高が減少する中でも、昨年まで配当金の増配を続けており、株主を重視する姿勢を持つ企業ということはいえます。
エクソンモービルの現状
ESG投資の流れを受ける
エネルギー会社という性質上、現在のESG投資の波を避けて通ることができません。ESG投資のESGとは、「Environment」,「Social」、「Governance」の三つを表しており、日本語で表すと、「環境」、[社会」、「企業統治」を表しています。この「E]、「S」、「G]の3つに配慮している企業に投資を行っていくのがESG投資であり、今後の投資のトレンドともいえるでしょう。その中でも「E]、環境とはその名の通り、二酸化炭素の排出量を減らしたり、資源を守ったりと、環境に優しい事業を行っているかどうかということが重視されます。最近ではテスラ(TSLA)の電気自動車が話題になりましたが、これは環境に配慮されたこれからの事業といえます。しかし、エクソンモービルの事業は、このESGの流れに真っ向から対立してしまっています。二酸化炭素を多く排出する化石燃料による火力発電などを思い浮かべれば明白です。事業の根幹である石油が環境保護と対立する構図になってしまっています。今後も強まって行くであろうエコの流れに対立してしまっているのは状況としていいとは言えないでしょう。
原油価格が業績に直接影響する
石油の生産および石油関連の製品の製造をおこなっていることからわかる通り、原油価格が業績に直接影響を及ぼします。2020年4月20日には、NY原油先物WTIが歴史上初めてマイナスをつけ、お金を払ってでも引き取ってもらいたいという異常事態が起きました。今後も、マイナス価格をつけるということは考えにくいですが、戦争やテロといった要因で原油価格が乱高下する可能性は充分考えられます。現物と先物の違いはもちろんありますが、原油価格が不安定となれば、業績も不安定になってしまうというのは必然でしょう。
コロナの影響を大きく受けている
エネルギー関連の会社は新型コロナウィルスの影響を受けやすいです。企業の活動が止まり、人の動きが止まってしまうというのは、工場も車も動かず社会がエネルギーを消費しないということにつながります。コロナウィルス感染の拡大が起こり、再びロックダウンという事態になれば再び、社会の動きが停滞し、エネルギー需要の停滞は起こりえます。今後の展望これまで、エクソンモービルのネガティブな部分を全面的に紹介してきましたが、今後の動きを見ていく中で重要なポイントを考察していきます。
事業を多角化できるか
トレンドとなりつつある、ESG投資に対して、答えを見つけることが出来るのかが1つの重要なポイントになるのは明白です。現在の石油を中心とした事業展開から派生して、環境に配慮したエネルギー事業および周辺ビジネスを展開し多角化を図っていくことできれば、元々大きな影響力を持つ企業なので一気に業績を伸ばしていく可能性はあるのではないでしょうか??
とはいえすぐに化石燃料の需要はなくならない
環境配慮への流れが強まっているとしても、すぐに、化石燃料の需要がなくなることはありません。太陽光や風力といった、環境に配慮された発電方法や電気自動車が今後、普及をしていくのは、間違いないかもしれませんが、まだまだ普及には時間がかかると思われます。さらに、石油の製造、生産といった事業は参入障壁も高く、今後新たなプレイヤーが進出してくるのは考えにくいです。長期的な目線で見れば、厳しいですが、中期、短期的な目線では一定の需要は続いていくでしょう。
まとめ
エクソンモービルはESGという時代の逆風に晒されており、さらに、新型コロナウィルスによるエネルギー需要の停滞により業績、株価共に下落傾向にあるのが現状です。今後、ESGという流れに沿った事業展開が行えるのかというのが大きなポイントになります。また、短期、中期的な目線では、石油を中心としたエネルギー消費は続いていきます。新型コロナウィルスの今後の拡大状況は懸念されますが、一定の需要は継続されていくのではないでしょうか。